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2016年度日本ロシア文学会賞・日本ロシア文学会大賞選考結果

2016年度日本ロシア文学会賞・日本ロシア文学会大賞選考結果


2016年度の日本ロシア文学会賞、ならびに日本ロシア文学会大賞の受賞者が決まりましたのでお知らせします。

日本ロシア文学会賞



受賞者(2名)

 【著書】大野 斉子 氏『シャネル№5の謎 帝政ロシアの調香師』(群像社、2015年、320頁)
 【論文】竹内 ナターシャ 氏「ソログープ『光と影』における影絵あそびとしての「演劇」の役割:「子供」と「変容」のテーマの繫がり」(『ロシア語ロシア文学研究』第47号)
 講 評(『ロシア語ロシア文学研究』第48号に掲載)
 受賞者のプロフィールと受賞のことば


日本ロシア文学会大賞

 受賞者
諫早 勇一 氏
授賞理由(短縮版)

第3回日本ロシア文学会大賞は、諫早勇一氏(同志社大学名誉教授、現在名古屋外国語大学中央図書館長・教授)に授与されることに決定した。

授賞の理由は、諫早氏が(1)ロシア文学の先駆的研究、(2)大学におけるロシア語教育、(3)学会運営の革新と充実、という三つの分野のすべてにおいて多大な貢献をしたということである。

(1)諫早氏は研究者としての経歴の初期から、従来の伝統的なロシア文学研究の世界では手薄であった比較文学的アプローチを積極的に試みるとともに、亡命文学研究の分野において先駆的な業績を次々に挙げてきた。特に、それまで事実上英語文学の専門家の領域と見なされていた亡命作家ナボコフを、初めて本格的にロシア語ロシア文学の専門家の側から研究の対象とした功績は研究史上画期的である。諫早氏の亡命ロシア研究はさらに、個別の作品・作家研究のレベルを超えて、亡命ロシア人の都市としてのパリ、プラハ、ベルリンなどを次々に研究対象として重要な著作を次々に刊行し、常に日本における亡命ロシア文化研究を主導してきた。

(2)諫早氏は1991年に同志社大学に赴任後、2013年に定年退職するまで、同大学におけるロシア語教育の発展に大きく貢献した。とりわけ1993年に同大学言語文化研究センター教授に就任以降、第2外国語としてのロシア語教育に尽力した結果、1000名を超える驚異的な数の受講生を擁するロシア語教育体制を作り上げた。その波及効果は広く関西圏全体に及び、同志社大学は関西圏のロシア語教育普及のための大きな原動力となった。

(3)諫早氏は、日本ロシア文学会の中核的な会員として、1997年から理事、監事、学会賞選考委員、学会誌編集委員、関西支部長などの要職を歴任した後、2009年から6年間にわたって副会長を務めた(さらに2011年からは、2年事務局長も兼任するという激務をこなした)。副会長の時代には様々な新機軸の実現に尽力した。

諫早氏はこれらの多面的かつ精力的な仕事を通じて同僚たちを鼓舞し、後進の世代にとって輝かしい導きの星となってきた。このような優れた研究者・大学人は日本ロシア文学会の誇りとするところであり、第3回日本ロシア文学会大賞を同氏に贈ることは、選考委員会にとって大きな喜びである。
授賞理由(正式版)と受賞のことば

日本ロシア文学会大賞選考委員会